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投稿時間:01/04/23(Mon) 11:10
投稿者名:矯正専門医
Eメール:fukumashi@yokohama.email.ne.jp
URL :
タイトル:Re: 大人の歯科矯正について

> 35歳です。数年前から矯正を考えていましたが、いろいろな手法があることを知り、
> 踏み切れずにいます。私の歯は、通常一般的に前歯部分が対象になるというよりも、
> 奥歯の乱れがひどく(上下とも)、ある矯正専門医の初診相談の際に”こんな症例は珍しい、是非学会発表させてくれ”と、言われたほどで、大変磨きにくく、
> 虫歯にもなりやすい状態です。見た目も大事ですが、何より機能面で十分噛み合わせができていないので、将来の歯周病(おそらく現在も進行しています)
> が心配なので、矯正はしたいのです。
> ただ、できれば、親知らず以外の歯を抜かずに行いたいのです。
> 本などで見たのですが、基本的に抜歯をしない矯正は可能なんでしょうか?
> また、もし抜歯するにしても、虫歯の歯を選ぶことは可能でしょうか?
> 実際の歯の状態がわからないところでの質問なので、お答えは難しいかと
> 思うのですが、
> よろしくお願い致します。

小臼歯を抜かずに矯正をする事が、大切だと、
何でもかんでも小臼歯を非抜歯で矯正治療をする先生が出した本を読んだ事あります。
しかし顔写真は1枚ものっていませんでした。

抜歯・非抜歯論争は1930年代にアメリカでおきて、現在は通常行われていることです。
私も矯正専門で開業して私自身の治療を含めて、小臼歯抜歯して多くの患者さんを治療しました。

それが正しかどうかは別にして、実際、他医院で小臼歯非抜歯で治療途中、当院に来院して小臼歯抜歯してやり直したケ−スは最近多く見られます。

つまり小臼歯を抜くか、親知らずを抜くか、非抜歯か顎切手術を併用するかは、複雑な矯正診断で決定するのもです。

小臼歯を非抜歯で叢生を改善するには
1.大臼歯を奥に動かす。
2.前歯を前にだす。
3.横に拡大する。

1.はmm数に限界があります。
多くは2.で治療後カッパさんみたいな口元で、
唇が閉じにくく、頤筋(唇を閉じると顎に梅干しの様な緊張がはしる)の緊張を伴った口唇閉鎖不全を招くのです。
3.でやたら拡大して犬歯が歯槽骨から飛びだして歯根が露出したケ−スを見たことがあります。歯槽膿漏や予後の安定性に疑問を感じました。

私や多くの(特に米国)の矯正専門医に、そこまでして小臼歯を非抜歯にする価値が理解できません。

ロフトさんが小臼歯非抜歯にこだわっている理由もわかりませんが、
矯正専門医が学会発表したいほどの叢生を「小臼歯非抜歯でお願いします。」とうのは、

「船にも飛行機にも乗りたくないがこの島までいってください」
と言っているようなもので、島が江ノ島や城ケ島なら「泳いで行きましょう」と旅行専門業者は言うかもしれません。

もしハワイならどうでしょう?
「ハワイまで泳いで行きましょう」と言う、旅行会社にはハワイまでの距離を測る診断力があるとは思いません、理論的には可能でしょうが現実的ではありません。

私がそのような要求しれたら、断るか電車で「常磐ハワイアンセンタ−」へ行って「アロハ!」と言ってください。というだけです。

矯正診断学は複雑で重要なものです。患者さんの顔色を伺って行なうものではありません、もちろん治療方針決定には患者さんの主訴を考慮します。また最終的に治療を行なうかどうかも患者さんです。

インホ−ムドコンセント(情報を知らせて、同意)からインフォ−ムドチョイス(情報を知らせて、患者さんが選択する)が重要です。

私はいつも患者さんに言うのですが「矯正治療をやらない」というのも
立派な選択肢です。

色々な専門医の意見を聞いてロフトさんが判断するべきです。


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- 大人の歯科矯正について - ロフト 01/04/23(Mon) 00:56 No.244

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